内容紹介

 この本はヨーロッパにおける宗教の自由に関する問題を考察したもので、欧州人権裁

判所のそれに関する取り組みと、フランスにおける多文化主義、世俗主義、イスラム女

性、西洋におけるイスラム教の問題について調査している。その成果として、法的分析

、例えば政教分離などの概念に注目した民俗学的実地調査、提案、とりわけ公教育にお

ける国家の公平性と役割に注目し、それを示している。この本を通して、読者はフラン

スのパリ南部の低所得地域にある公立学校の内部事情を知ることができる。そしてイス

ラム教徒が頭にスカーフをかぶることを禁じた2004年制定の法律が可決されるに至った

複雑な作用について学ぶことができる。各章では、法案成立のお膳立てをしてきた学校

関係者とその文化、そしてそれを支えた政治哲学について明らかにしている。宗教の自

由と独自性が人々にどのくらい理解されているかを計るために、学校文化と哲学を、教

員や管理職、学生の考えや意見と比較対比している。この本ではさらに欧州人権裁判所

における宗教の自由に関する問題を探求している。宗教の自由に関する権利は十分に理

解されておらず、人々はイスラム教についての固定的な見方から抜け出せないため、そ

れが宗教の自由という考えを露骨に危険にさらしている。そして、宗教と国内政治のも

つれによって、裁判所は微妙だが重要な差違を軽視し、それにより、世俗主義、多元主

義、民主主義が危険にさらされていると著者は述べている。この本は大変読みやすくわ

かりやすいため、法律、人類学、宗教学、宗教哲学を学ぶ学生や研究者にお勧めしたい

本である。